Femtech Fes! SG vol.1 レポート - 不妊治療とおりもの、PCOS (多嚢胞性卵巣症候群)

2021年3月に開催された、fermata シンガポール主催のオンラインセミナーでは、不妊治療について専門家にお話を伺いました。不妊治療をされている方、妊活中の方、PCOSについて気になっている方に役立つお話がたくさんあったのではないかと思います。こちらでは要約を日本語に翻訳してお届けします。(ページ最下部よりイベントの動画 (英語) をご視聴いただけます) 

 

毎年3月に「不妊治療週間」があるのをご存知ですか? fermata では、二人のゲストをお迎えして、不妊治療・妊活のなかでも「自分でできる排卵日予測方法」「おりもの」「多嚢胞性卵巣症候群」について主にお話を伺いました。

 

ゲストスピーカー

  • Dr. Huang Zhongwei -  シンガポール国立大学病院 産婦人科医、体外受精専門医
  • Kristina Cahojova  -  kegg 創始者・代表(おりものによる排卵日測定デバイスを製造・販売する、サンフランシスコのスタートアップ)

モデレーター 

  • Pear Poolvaraluk - fermata シンガポールのマーケティング担当

 

排卵日予測方法(FABM:  Fertility Awareness-Based Method)について教えてください

排卵サイクルやホルモン変化のパターンを知ることで、妊娠しやすい時期、しにくい時期を自分自身で予測する方法です。主に使われる方法は以下の4つです。

  • 基礎体温測定
  • おりもの測定
  • アプリで生理期間を記録
  • 尿検査で排卵日測定

これらの方法は無料、または安価に実践できるものですし、副作用もなく、医療専門家の助けを借りずにいつでも開始することができます。

いずれも、まず大切なのは排卵サイクルについて知ることです。28日周期といわれますが、サイクルの長さは人によって違いますし、その時々のストレス状況によっても変わってきます。

私たち一人ひとりが違うように、排卵サイクルも人それぞれ。平均や他人と比較するよりも、自分自身のサイクルやパターンを知ることが何より重要です。

 

 

Dr. Huang によると、女性自身が排卵サイクルを学び、ホルモン変化を観察することと同じくらいに、パートナーがそれらを把握することが大切とのこと。男性はホルモンが女性のように変化しないため、ホルモンが心身に大きく影響することを理解していないケースが多いといいます。女性のホルモン変化のパターンを知ることによって、PMS時期のパートナーのいらいらや体調不良に気づくなど、より適切にお互いを労ることができるようになるはずです。

 

また、妊活において注意したいのがストレス。強いストレスは排卵に影響を与え、排卵サイクルを不規則にしがちです。たとえば仕事での大きなプロジェクト、寝不足、激しすぎる運動もストレスの原因となります。

 

不妊治療にまじめに取り組むうちに、必要以上に神経質になってしまうケースも少なくありません。排卵サイクルを知る第一の目的は、大切な自分の身体をより理解してうまく付き合うこと。妊娠にフォーカスしてパートナーとの関係にストレスを増やすのではなく、よりよい関係を築くためのツールとし、親密な関係を維持することが妊活において大切だとのアドバイスをいただきました。

 

 おりもの測定方法とは

 基礎体温と同じく、おりもの(子宮頚管粘液)の質の変化は妊娠可能時期を予測するのに大切な指標です。妊娠するには、卵子、精子、そして精子が卵子に到達するサポートをする子宮頚管粘液(おりもの)が必要。簡単に言えば、子宮頚部の水分がないと妊娠できないのです。卵子は卵巣から放出されると、受精するのに12時間から24時間しかありません。子宮頚管粘液の助けを借りて、精子は数日間生き続けることができます。

 

排卵周期の時期に応じておりものの質が変化することで、精子が運ばれやすくなったり運ばれにくくなったりします。乾いた状態から湿った状態、ねっとりした状態や卵のような状態と、サイクル全体で変化が見られます。

 

https://premom.com/blogs/how-to-get-pregnant-naturally/natural-family-planning

 

排卵日までにエストロゲンのレベルが上昇していくにともない、おりものは徐々に水っぽく、量が増えていきます。最初はねっとりとべたつくかもしれませんが、徐々に湿ってクリーミーとなり、ローションのように水っぽくなります。排卵日間近、または排卵日は、膣はかなり湿った感じになり、おりものはより透明に、滑りやすい感触となります。

 

最も妊娠しやすいと言われる、排卵日1,2日前のおりものは、生の卵白に似た感じと言われます。おりものの量は人によって異なりますが、乾いた時期と比べると最大10~20倍もの量になるとのこと。排卵が終わると、子宮頚部の水分は乾き始めます。精子が泳ぎにくくなる環境となり、妊娠しにくい時期になります。

 

 この変化を理解すると、おりものの量が増えて心配することが減るかもしれません。下着の染みが正常なサイクルに基づくものなのか、感染症の疑いがあるのか、ある程度判断することも可能になります。

  

ゲストのクリスティーナは、おりものによる排卵日測定デバイス、Kegg を開発しました。膣に1,2分間ほど卵型の機器を入れると、おりものの電解質を読み込み、排卵日が一週間前から予測できる医療機器です。

 

実際、彼女自身の妊活体験から製品が誕生したとのこと。生理が非常に不規則だった彼女は、医者に勧められておりものを観測するようになったのですが、その方法が非常に昔ながらのやり方で驚いたとか。指を膣に入れ、おりものを触り、感触やにおい、ねばっこさを確かめる方法は心理的な抵抗が大きく、負担を感じたそうです。少しでも楽に、そして正確に測定するやり方がないか模索し、新製品の開発に至ったということです。

 

クリスティーナ:「不妊治療は、女性が自分自身の身体と繋がるだけでなく、カップルがより深いレベルでお互いのことを理解し合うことから始まります。女性の排卵サイクルをお互いが把握するのには半年以上かかることもありますが、その努力をするだけの価値があると信じています。パートナーのホルモン変化を自分のカレンダーに同期させると想像してください。エストロゲン増加時期は、より創造的に、社交的になる時期でもあります。デートの計画、家事や子育ての分担をパートナーのサイクルに合わせて最適化することができ、その力は無限大なのです!」  

 

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と不妊について

 PCOSの主な原因は、女性が本来ならば少量だけ持っている男性ホルモンの過剰分泌です。男性ホルモンが、卵巣が卵子を正常に放出することを妨げ、卵巣に卵が泡状に留まり、不妊の要因となります。男性ホルモンの影響により、無月経や不規則な月経、にきびや体毛の増加、肥満といった症状が見られます。

 

PCOSを正確に診断できるのは、初潮から6年後くらいとのこと。18歳ごろになって、ようやく症状に気づけるのですが、もしも避妊薬を使用していたならば、生理周期の乱れに気づくことが遅くなり、治療も遅くなってしまう懸念があるとのこと。自身の生理周期が健康なものか確認し、妊活をスムーズに進めるためには、避妊薬の使用を早いうちに制限する必要がありそうです。放置しておくと、子宮内膜の病気など、より深刻な病気の原因となる場合があります。

 

PCOSに対する誤解のひとつは、肥満が原因と思われていることです。肥満がPCOSを悪化させる可能性があるのは事実ですが、肥満でなくてもPCOSになるケースがありますし、減量が一番の治療法ではない場合も多くあります。

 

もうひとつの誤解は、PCOSの女性は妊娠できないということ。排卵自体は起きているので、適切な治療を施して卵子を排出できるようになれば、妊娠することも可能です。医師による薬の処方や手術といった治療に加え、生活習慣を改善して、ホルモンバランスを整えることが長期的にも効果的な方法です。中でも、Dr. Huang によると、飲み物によっておりものの質が変わる可能性があるとのこと。そのため、特に妊活中の方は、アルコールとカフェインを避け、水を多く飲むのを勧めたいとのことでした。

 

妊娠するのにかかる時間、年数に正確な答えはありません。また、出産するのは女性ですが、不妊の40%は男性側の要因に起因しているともいわれます。だからこそ、不妊治療においては二人で協力すること、二人の親密さを失わないことが大切だ、とクリスティーナは強調しています。

 

「子供を持つかどうかは、それぞれのカップルの決断です。人間は、生殖するためだけの存在でなく、社会的な生き物でもあります。他の人に愛され、触れられ、信頼されることに幸せを感じる、知的で感受性豊かな存在なのです。信頼があるからこそ、不安や心配を伝えることができ、それが親密さにつながります。ストレスは規則的な排卵の妨げになるからこそ、互いに信頼感を築き、ストレスを軽減し、親密さを大切にしてほしいと思います。」

 

健康なカップルであっても、妊娠するまでに時間がかかることがあります。ひとりひとりが違うように、妊活ストーリーも全員違います。辛抱強さが必要とされるかもしれません。そのような時は、仕事、趣味、好きなこと、楽しいことに焦点を合わせて過ごすことも大切です。不妊治療中であれば、同じような思いをしている人がまわりにいること、一人ではないこと、サポートしてくれる医師、コミュニティ、そしてフェムテック製品があることも知ってほしいと思います。 

 

*クリスティーナが開発した kegg は、fermata シンガポールにて販売しています。アジアでは現在、唯一の取扱い販売店です。詳しい商品情報はこちらから。日本からの個人輸入、日本語でのサポートも可能です。お問い合わせは singapore@hellofermata.com にメールでご連絡ください。

 

 

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